こんなに違うとは!「戸襖の下地処理」で仕上がりが激変-プロの秘訣を解説



「襖の張り替えって、紙を変えるだけじゃないの?」と思っている方へ。 実は仕上がりを左右する一番のポイントは「下地処理」なんです。 私は30年近く襖張り替えに携わってきた職人ですが、今回はYouTubeでも好評だった「戸襖の下地処理」について、プロならではの目線でお伝えします。

 ■こんなに違う!「戸襖の下地処理」で仕上がりが変わる理由とプロの手順 


 戸襖の下地をきちんと整えるだけで、仕上がりがぐんと変わります。見た目もきれいになって、紙が浮いてきたり、ヨレたりする失敗も減らせるんです。

はじめての方でも、ちょっとしたコツをおさえるだけで見違えるような仕上がりになりますよ。 このブログでは、私自身がYouTubeでも紹介した「茶チリを張る前」の一番大事な準備について、なるべくわかりやすくお伝えします。 

 ・襖の仕上がりは下地で7割決まる 


いちばんよく聞かれるのが、「なんで下地がそんなに大事なの?」という質問です。 実は、下地の処理がしっかりしていないと、襖紙がうまく貼れなかったり、表面にボコボコした感じが出てしまったりします。

 どんなに高い襖紙を使っても、下地が凸凹のままだと見栄えは良くなりません。反対に、紙は普通でも下地がしっかりしていると驚くほどきれいに仕上がることもあります。 それくらい、下地って大切なんです。

 張ってから「失敗した…」と後悔する前に、下準備を少しだけ丁寧にしてみてください。見違える仕上がりにきっと驚きますよ。 ・戸襖とは?ベニヤの見分け方と注意点 まず、戸襖について少しお話します。

戸襖とは、ふつうの襖とちょっと違って、外枠を外さずに張り替えるタイプのものです。表面はベニヤ板になっていて、軽く叩くと「トントン」と響くような音がするのが特徴です。 ここでひとつ注意点があります。

同じように見えるけど、ダンボール製の襖もあるんですね。このタイプに今回の方法を使うと、凹みやすかったり、うまく仕上がらないことがあります。 見分け方としては、叩いてみて音を確認するのが手軽です。

それでもわからなければ、画像を送ってもらえれば私の方で判断できることが多いので、お気軽にLINEで聞いてください。 

 ・実際に多い“よくある失敗”とその原因 


「襖紙を張ったのに、なんだか波打ってる」「端っこが浮いてくる」といった声をよく耳にします。こうしたトラブルの多くは、下地の処理不足が原因です。

 とくに古い紙をちゃんと剥がしていなかったり、表面にホコリや糊のカスが残っていたりすると、紙が密着しません。

そうすると見た目にも影響が出てしまいます。 張り替えるときには「多少残ってても大丈夫だろう」と思いがちですが、その“ちょっとの油断”が仕上がりにしっかり出てしまうんですね。

 たとえば、前に張ってあった紙がクロスのようにべったり貼られていた場合。これを無理に重ねて貼ると、どうしても段差や膨らみが出てきます。 こういう失敗を防ぐためにも、最初の下処理が本当に大切なんです。

 ・プロがやっている下地の流れを紹介 


では実際に、私がやっている下地処理の流れをざっくりご紹介しますね。 まず、引手(取っ手)を外します。これはペンチやスクレーパーを使えば簡単に外せます。引手を外すことで、紙をきれいに端まで貼れるようになります。

 次に、古い紙を剥がしていきます。状態によっては、表面が何枚も重ねて貼られている場合もあるので、角や縁に注目しながら少しずつめくっていきます。 剥がしたあとは、カッターやサンダーで表面をなめらかに整えます。

ここでホコリを取りのぞいたり、傷を埋めたりしておくと、紙がぴたっと貼れるようになるんですよ。 私の場合、剥がし残しや段差を減らすために“そぎ切り”というやり方も使っています。

これはカッターの刃を寝かせて、紙を薄くそぐように切っていく方法です。 作業が終わったら、軽く掃除して、最後に「捨て糊」を塗っておきます。この一手間で、のちの貼り付きがよくなりますし、ムラも出にくくなります。




 ・YouTubeでも解説した“茶チリ前の必須工程”とは?


 私のYouTubeチャンネルでもこの流れを紹介していますが、茶チリを貼る前には「絶対にやっておきたい工程」がいくつかあります。

 そのひとつが、マスキングテープを使って周囲を養生することです。これはのりのはみ出しを防いで、きれいに仕上げるための工夫なんですね。 さらに、捨て糊をきちんと乾かしてから次の作業に進むのも重要です。

乾いてないうちに紙を貼ってしまうと、紙がよれてしまったり、端が浮いてしまったりする原因になるからです。 こうした細かい部分の積み重ねが、最終的な見た目を大きく変えてくれます。 「なんだか難しそう」と思った方も大丈夫。

一度やってみると意外と楽しいですし、うまく貼れた時の達成感はひとしおですよ。




 ■初心者が戸襖の下地処理でつまずくポイント-道具・判断・剥がし方まで全部解説


 襖をうまく張るためには、下地をどう整えるかがとても大事なんですが…ここでつまずいてしまう方、実はすごく多いんです。 

「どこまで剥がせばいいの?」「道具は何が必要?」そんな声をよくいただきます。 この章では、初心者さんが特に迷いやすい部分を、ひとつずつ丁寧にお話していきますね。 

 ・よくある質問「どこまで剥がせばいいの?」 


「紙が残っていても、上から貼ってしまえば見えないんじゃない?」 そう思ってしまう気持ち、よくわかります。でもそれ、あとから後悔するケースが本当に多いんです。 襖紙を貼ったあとに「なにか浮いてる」「表面がガタガタする」と気づいても、やり直しはけっこう手間がかかります。

だから最初の段階で、ベニヤが見えるところまでしっかり剥がしておくのがベストです。 ただ、全面をツルツルにしなければいけないわけではないので安心してください。茶チリ(中貼り紙)を貼る場所だけでも、3cmほどきれいにしておけば十分な場合もあります。

 そのあたりのさじ加減も、動画で紹介していますので、併せてチェックしていただけるとうれしいです。

 ・使う道具とその理由(ペンチ・カッター・サンダーなど) 


「なにを用意すればいいのかわからない…」という方もご安心を。 私が現場でよく使っている道具をいくつかご紹介します。 

 ・まず、引手を外すのに便利なのがペンチ。
細かい釘も抜けますし、ぐらついた部品を整えるのにも使えます。 

・次にカッター。
これは紙を剥がしたり、そぎ切りをしたりするときに使いますが、切れ味が命。1枚貼るのに刃を3枚使うこともあるので、替え刃を多めに用意しておいてくださいね。 

・最後にサンダー(もしくは紙やすり)。
これは表面をなめらかに整えるために使います。80番くらいの粗さでじゅうぶんです。 100円ショップで買えるアイテムも多いですし、無理に高価な道具をそろえる必要はありません。とにかく“切れる”“削れる”“外せる”この3点があれば、十分対応できますよ。 



 ・紙がベッタリ貼られていた場合の対処法 


前に貼ってあった襖紙が、まるで壁紙のようにしっかりくっついている場合があります。これが剥がしにくいんですよね…。 

 そういうときは、カッターの刃を寝かせて“そぎ切り”という方法で少しずつ削っていきます。無理に剥がそうとするとベニヤまで傷めてしまうことがあるので、焦らず、力をかけすぎないように。

 もし刃の通りが悪くなったと感じたら、遠慮なく新しい刃に交換してください。それだけで、作業がぐっとラクになります。

 ちなみに、私はこの作業が一番好きだったりします。古い紙を剥がして、どんどんきれいになっていくと、なんだか気持ちいいんですよ。


 ・引手の外し方・釘の再利用術 


戸襖には「引手(ひきて)」と呼ばれる取っ手がついています。これを外さないまま作業すると、紙を端までうまく貼れません。 外し方は、引手の両脇をペンチで軽く叩いて、少しずつ浮かせていくだけ。

勢いよく外そうとせず、ゆっくりやるのがコツです。 外した釘は無くさないように取っておいてください。もし失くしてしまった場合でも、釘を半分くらいにカットして再利用する方法があります。

 私はよく、抜いた釘をそのまま小さなケースにまとめて保管しています。あとで役立つことが意外と多いんですよ。 

 ・「捨て糊」とは?プロも実践する裏ワザ 


捨て糊って、はじめて聞く方も多いかもしれません。 これは襖紙を貼る前に、表面に薄く塗っておく糊のことです。 

 これを塗っておくと、のりのノリがよくなって、しっかり密着してくれます。私は障子用の糊を使っていますが、水でかなり薄めてOK。とろみが少し残るくらいの緩さがちょうどいいです。 塗ったあとはしっかり乾かしてから次の工程へ進んでくださいね。

乾かないうちに作業をすると、逆に紙がよれたり、浮いたりしてしまうことがありますので…。 この“捨て糊”の一手間で、全体の仕上がりが本当に違ってきます。

 一度試していただければ、その効果を実感していただけるはずです。



 ■これで安心!自分でできる「戸襖の下地処理」チェックリストと仕上げ前の確認方法 


 「できることならプロみたいにピシッと仕上げたい!」 そんな方に向けて、今回は仕上げ前の最終チェックポイントをまとめました。

ここを押さえておけば、自分でやっても堂々と見せられるレベルになります。 ちょっとしたポイントですが、これを知っているかどうかで完成度がかなり変わってきますよ。 

 ・「プロ並みに仕上げたい」人向けのチェックポイント 


まずは、仕上げ前に“ここだけは見ておきたい”というポイントをお伝えします。 

 ・引手のまわりに古い紙や糊が残っていないか 

・ベニヤの表面にささくれや段差がないか 

・角やフチの処理がなめらかになっているか 

 これらは、どれかひとつでも甘いと見た目に影響が出やすいところなんです。特に角の処理は要注意。紙が浮いたり、破れたりする原因にもなってしまいます。 

 目で見てきれいなだけじゃなく、手でさわって引っかかりがないかも確認してみてください。ちょっとした違和感が、仕上がりの差につながることもあります。 


 ・茶チリがきれいに貼れる下準備とは?


 茶チリを貼る前の準備として、一番大切なのは「余計なものを残さないこと」です。 表面にホコリや糊カスが残っていたり、紙が一部残っていたりすると、茶チリが浮いたり、よれたりすることがあるんですね。 

 ですので、作業後はサッと一度ほうきなどで掃除をして、状態を整えておくのが理想です。 また、前の章でも触れましたが、“捨て糊”をうすーく塗っておくだけでも、貼りつきがかなりよくなります。 

 「このひと手間でそんなに変わるの?」と思うかもしれませんが、これがあると仕上がりがピタッと安定してくれるんです。ぜひ試してみてください。


 ・マスキングの使い方と仕上げに差が出るコツ 


マスキングテープって、実はすごく便利なんです。 茶チリを貼るとき、端っこのはみ出しを防いだり、のりが他の場所につくのを防ぐために使います。 おすすめの使い方は、まず貼る範囲の外側ギリギリにテープを一周貼っておく方法。

こうしておくことで、仕上がったときに輪郭がピシッと見えてきれいなんですよ。 剥がすときも、のりが完全に乾く前にそっと取ってあげると、端がめくれたりする心配も減ります。
 慣れないうちは忘れがちな工程ですが、取り入れるだけで仕上がりに差が出るので、ぜひ覚えておいてくださいね。

 ・「失敗を防ぐ」ための再確認ステップ 


「下地はやったつもりだけど、本当にこれでいいのかな…」 そんな不安を持っている方は、次の3ステップを最終チェックとして使ってみてください。

 ・引手を戻す前に、紙が貼れるスペースがまっすぐかどうか確認 
・表面にザラつきや糊残りがないか軽く手でなでてチェック 
・茶チリを仮当てして、浮きやすい箇所がないか見る 

 この3つを確認すれば、作業中の「しまった!」をかなり減らすことができます。 事前に見つけておけば、貼った後にやり直すよりずっとラクですよ。 確認というより“おまじない”のつもりで、一度サッとチェックしてみてはいかがでしょうか。 


 ・不安がある方へ-画像相談・LINE活用もOKです 


「自分でやってみたけど、これで合ってるのか心配…」 そんな時は、遠慮なくLINEなどから画像を送ってご相談ください。 実際に、今までも「これはベニヤですか?」「この剥がし方で合ってますか?」というご質問をたくさんいただいています。

 画像を見せてもらえると、文章だけよりもずっと正確にお答えできます。 わからないまま作業を進めてしまうと、不安も増えるし、失敗につながることもありますよね。 そんなときこそ、気軽にプロを頼ってみてください。もちろん無料でお答えしていますので、お気軽にどうぞ。




【執筆者】前田畳店 代表 前田昌俊
・岩手県盛岡市で60年以上続き地元の皆様に愛され続けている
前田畳店の二代目店主
・畳、襖、障子、壁紙、網戸の張り替えと襖紙販売店『和紙屋』代表
・現在登録者8000人の襖系Youtuber
・畳技能士資格、畳職人指導員資格と壁装技能資格を保有
・『お客様への真心』が仕事の原点。これからもその信念を大切に貫く52歳


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【前田畳店の紹介】
盛岡で創業60年の信頼と実績!
たたみ、ふすま、しょうじ、カベ紙、アミ戸の張替えリフォームは
畳製作技能士一級・畳訓練指導員、壁装技能士1級、2級在籍の


前田畳店・インテリアマエダ

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